2011年1月3日月曜日

炭酸飲料は肥満のもと? NYソーダ戦争、市長VS業界

炭酸飲料は肥満のもと? NYソーダ戦争、市長VS業界

【ニューヨーク=田中光】肥満の原因とされる砂糖入り炭酸飲料などの消費量を抑えて、医療費を抑制しよう――。ニューヨークのブルームバーグ市長が、そんな試みを打ち出した。一方、飲料業界は「無用な干渉でしかない」と猛反発し、「ソーダ戦争」の様相を呈している。
 市の提案は、月当たりの世帯収入が2400ドル(約20万円、4人家族の場合)未満の低所得者層に配られる米政府の食糧クーポン券で、炭酸飲料などの砂糖入り清涼飲料水を買えなくするというもの。市によると、人口当たりの糖尿病患者は、低所得者が住む地域では、高所得者層地域の4倍。1日に1回以上炭酸飲料を飲む人が38%以上いる地域は、クーポン券利用者が多い地域と重なり、肥満率が30%以上に達するという。
 このため市長は、クーポン券で炭酸飲料を買えなくすれば、より栄養価が高い食料品にお金がまわるようになり、肥満や糖尿病を抑えられると訴えている。
 これに対し、米国飲料協会は「砂糖入り飲料水のカロリーだけが特別なわけではない」として、狙い撃ちに反発するコメントを発表。「恵まれない人たちにとって不公平な措置だ」と主張し、一歩も引かない考えだ。
 バーなどの屋内施設からたばこを追放し、ファストフード店にカロリー表示を義務づけるなど、次々と健康政策を打ち出してきたブルームバーグ市長にとって、肥満対策は負けられない戦いだ。
 しかし、飲料業界は大きな政治力を持っており、今後、市の提案が米政府に認められるかどうかは、不透明だ。
 買い物客の8割前後が、クーポン券利用者だというブルックリン区のスーパーで働くスタンリー・パンフィールさん(27)は「市長の考えは面白いかもしれないけど、どっちにせよ、みんなソーダを買うよ」と効果に懐疑的だ。

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